受付スタッフ募集終了のお知らせ
稲垣クリニック院長の稲垣雅彦です。
このたびの受付スタッフの募集は終了いたしました。
お問合せしていただいた方に御礼申し上げます。
漢方治療・具体的な治療例:高齢者の処方
高齢者の特徴は一人で多くの疾患をもち、慢性的な疾患が多く、病気に対する抵抗力が低下しています。このような問題に対して、漢方薬による補助療法が期待されます。
八味丸
漢方でいう「腎」(先天の生命力)の力が何らかの原因で弱められている場合、「補腎薬」を使用します。その代表薬が八味地黄丸です。 老化に伴う動脈硬化、白内障、前立腺肥大などに応用されます。
これまで報告のあった効果(抜粋)
・糖尿病性神経障害の予防と改善
・前立腺肥大の自覚症状の改善
・更年期以降の女性の排尿障害に有効
・男性不妊に有効、精子無力症の改善
・女性不妊に有効
・更年期障害の改善
・骨粗しょう症の改善
・腰部脊柱管狭窄症に有効
・白内障に有効
・高齢者の意欲低下、焦燥感、不眠傾向の改善
・老人性皮膚そう痒症の改善
補中益気湯
漢方でいう「脾」(後天の生命力)の力が何らかの原因で弱められている場合、「補脾薬」が使用されます。その代表薬が補中益気湯です。 補脾薬は胃腸の働きを良くし、免疫力を高め、精神活動を活発にします。 胃腸の丈夫でない慢性消耗性疾患には補中益気湯を使います。 虚弱者の風邪にも使います。
抑肝散
認知症の周辺症状(徘徊、幻覚、睡眠障害など)に効果があることが報告されています。
六君子湯
胃のもたれ感のあるときに使う薬。慢性の胃腸機能低下状態に用いられます。 高齢者や虚弱体質の人で消化管運動低下による便秘にも使用します。
漢方治療・具体的な治療例:子供の服用
子供は生薬独自の臭いを嫌うため、漢方薬の服用は難しいことがあります。
乳幼児への飲ませ方(生後2ヶ月から服用例あり)
少量の水で顆粒を練って、顎の内側に貼り付けるようにしてあげましょう。 母乳や水と一緒に飲み込ませましょう。
小児への飲ませ方
エキス製剤をお湯に溶かしてハチミツや砂糖を混ぜて飲ませましょう。 シャーベットやゼリーに混ぜたり、オブラートに包んで飲ませましょう。
服用量の目安
処方量は年齢をもとにした目安があります。0歳児は大人の1/5~1/6、1歳児は1/4、3歳児は1/3、6~7歳児は1/2、小学生は2/3、中学生になったら大人と同量でかまいません。
漢方治療・具体的な治療例:漢方薬の服用方法
香りも作用の一部と言われています。
漢方薬は、食前もしくは食間の、空腹時に飲むように指導されることが多いです。これには理由があって、食事の成分が漢方薬の効果を減弱させるかも知れないからです。牛乳、お茶、コーヒーなどは要注意です。また、生薬の成分を効かせるために空腹時に薬を飲んで腸内で吸収させるようにします。
漢方薬(エキス顆粒)の正しい飲み方は、お湯で飲むのが基本です。 エキス顆粒を湯飲みなどに入れ、約60~80ccの微温湯で溶解させてよく味わって飲みましょう。臭いがどうしてもダメな人・お湯が用意できなければそのまま水で飲んでいただいても結構です。
漢方治療・具体的な治療例
漢方薬を第一選択とする疾患・症候
第1位 不定愁訴・更年期障害・自律神経失調症
第2位 こむら返り
第3位 急性上気道炎
第4位 便秘
第5位 疲労・倦怠感
第6位 食欲不振・栄養状態改善
第7位 イレウス
第8位 アレルギー性鼻炎
第9位 月経不順・月経困難証
第10位 咳・痰
(株式会社ツムラ資料より)
訴えの多い患者さんや更年期障害・自律神経失調症のようにさまざまな症状を抱えて悩んでいる患者さんには漢方薬を使うことがあります。 こむら返りや風邪(急性上気道炎)には即効性のある漢方薬があります。 腹部手術の後や疲労・倦怠感のあるときに有効な漢方薬があります。
漢方治療・主な副作用
漢方薬は副作用がほとんどなく、西洋薬よりも安心して使うことができます。 副作用が出る場合は、処方が患者さんの「証(体質)」に合っていないことが主な原因になります。 専門医が正しく処方した漢方薬を正しく飲むのなら、副作用が出ることはめったにありません。しかし、体質や症状に合わない漢方薬を飲んだり、決められた量よりも多く飲んだりした場合は、症状が悪化したり、中毒症状や発疹が出たり、下痢をしたり食欲が落ちたり、といった現象が現れることがあります。
間質性肺炎
漢方薬を服用してから2~4週間後に見られることがある副作用です。息苦しい・乾いた咳・寒気のない発熱が主な症状です。症状は風邪に似ているので注意が必要です。
偽アルドステロン症
「甘草」という生薬を多量に摂取するとむくみ(浮腫)や高血圧を呈することがあります。甘草の成分の一つであるグリチルリチンが血液中のカリウム濃度を低下させることで起こります。筋肉の働きも落ちるので、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢のけいれんなどの症状も出ることがあります。甘草はいろいろな漢方薬に配合されているので注意が必要です。
尿量減少
麻黄という生薬の入った漢方薬が排尿障害を起こすことがあります。高齢者の男性に見られます。麻黄の主成分は塩酸エフェドリンで、排尿時の平滑筋を緩みにくくして排尿困難を起こします。
このような漢方薬の副作用が現れた場合は、飲んでいる漢方薬を中止し、医師に相談してください。